2020東京五輪のエンブレム問題はベルギーのリエージュ劇場が提訴したことでしばらく収まりそうにありません。
JOC側は「エンブレムは問題ない」として変更の意思はまったくないと表明しています。コンペで決まって発表までしたからもう後には引けぬ、と言ったところでしょうか。既に一部企業ではこのエンブレム使ってますしね。
半世紀前にあったシンボルマークを巡るドタバタ
しかし、45年前の大阪万博のシンボルマーク決定には記者会見直前で決まっていたシンボルマークをボツにして再コンペするというドタバタがありました。
「これでは日本が世界の上にあぐらをかいている」と激怒し、一蹴したのは日本万国博覧会協会の会長にして「財界総理」と呼ばれた石坂泰三。当初デザインはこちら。
これも別に悪くはないと思いますけどねぇ。「インテリだけがわかるようなものではだめで、大衆性がないといけない」という石坂泰三氏の言葉は今回の件にも通じるところはあります。
今回の五輪エンブレム騒動の当初、佐野研二郎氏のデザインを擁護する形で「素人は黙ってろ」「デザイナーなら良さがわかるよ」的な評価をいくつか目にしました。こういう人達には石坂泰三氏の言葉を贈りたい。
というのも、オリンピックや万博のように世界の様々な民族・人種・年齢の人が目にするイベントのマークでは、狭い「日本のデザイナームラ」の評価なんてクソみたいなもので、むしろ一般人の評価の方が重要。デザインの流行とか先進性とか二の次。誰が見ても印象に残るデザインこそが重要です。
そして再コンペ
大阪万博ではその後再コンペが行われ、おなじみのシンボルマークが選ばれました。
再コンペで様々なところに謝って回ったであろうと思いますし、石坂泰三氏の独断は影で批判を浴びていただろうと思います。独裁と言われてもしょうがないですし。
ただ、誰かに責任が及んではいけないからと失敗であることを認められない組織よりはマシ。何か後ろめたい事情でもあるのかと勘ぐってしまいます。
これまでの五輪のエンブレムは
これまでの五輪エンブレムはというと、誰にでもわかりやすさがありつつ華やかさや躍動感をうまく取り入れてる印象があります。
「業界人だけがわかるようなものではだめで、大衆性がないといけない」
あらためてこの言葉を贈りたい。「まるで位牌みたい」と言われるデザインをコンペで選んだ審査員が一番ダメかもしれない。