杭打ち工事のデータ偽装、有機肥料の成分偽装、療養費偽装…
VWの排ガス偽装で偽装大国の座をドイツに譲るのかと思いきや、すぐに巻き返すのは偽装大国・ニッポンの面目躍如といったところでしょうか。
私がかつて働いていたIT業界でも、偽装請負が日常茶飯事でした。もう一つあまり知られてない偽装に「偽装名刺」があります。
偽装名刺とは
私の場合で説明しましょう。契約の形はこうです(全て請負)。
客→元請け→下請け→私(請負)
この契約で元請けの社員・下請けの社員と一緒に客先に常駐します。「客」からは「元請けの社員」として振る舞うように「元請けの名刺」が作られ持たされます。客とのミーティングで名刺を出すことがあります。
これが「偽装名刺」です。私は元請けの社員でもありませんし、そもそも元請けと直接の契約関係もありません。直接の契約関係がないので、本来元請けの社員から指示を受けてもいけません。受けたら偽装請負なので違法です。
でも偽装名刺はこの業界では少なからずあると思います。上の例で多重請負を隠すために、下請けの名刺を持って元請けに挨拶をする場合もあるでしょう。名刺を持たないまでも多重であることを隠すこともよくありました。
偽装名刺を作らない場合は
偽装名刺を作らないでミーティング等に参加する場合は、「ちょうど今、名刺を切らしてまして」と言うのが習わしです。業界の仕組みを知ってる人には「あっ、察し」です。でも意外と知らない人もいるものです。ウブなものですね。
法律的にはどうなの?
命令系統的な偽装請負の問題は名刺には直接関係しません。コールセンターを請け負っている会社の人間が、請け負った会社の名前で客から電話を受けたりするように、責任の所在さえちゃんとしてれば問題はないとのこと。
ただし、契約として社員でなければいけないとか、客から身分を明らかにするよう求められた場合にはその限りではありません。契約や倫理的な問題ですね。
「社員と思ったから契約した」などと後々トラブルになっては困る場合、「代理店契約している~」とか「~の業務を請け負っております」とか違う会社だけど受託してやっていますとはっきり言う会社も最近では目立ちます。本来はこれが正しいんでしょうね。
逆に偽装名刺を持って婚活パーティに行ったらモテるのか? と考えてみたことはありますが、流石にやりませんでした(;´∀`)
まとめ
偽装大国・ニッポンにある様々な「偽装」の一つ「偽装名刺」のお話でした。
ちなみに、私の場合の「元請け」とは大企業の子会社で非常にちゃんとした会社です。そんな会社でさえ簡単に「偽装名刺」を作るのですから、旭化成の子会社が偽装をしてもなんら不思議でないと思いました。IT業界と建設業界はこの点で非常に親しい間柄です。
旭化成建材のデータ改ざんに関わった社員は、主に下請け会社から旭化成建材に出向の形で社員になっていたようです。この場合は当然旭化成建材の名刺を貰っていたと思いますから、婚活パーティでは有利だったかもしれませんね。